由比ヶ浜

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由比ヶ浜

安達清常は鎌倉殿の使者と安達の従者を引き連れ由比ヶ浜に向かいます。 由比ヶ浜に着くと安達の従者は口々に自らが手を汚す旨、志願します… しかし安達殿は、どちらにせよ後世に判官の後胤を殺害したと伝えられることを達観していました。 「罪なき赤子の息を止める…ましてや判官贔屓の烈しくある御時世で豫州の子孫を絶つお役目… 他の者に敢えて汚名を残させるわけにもいかぬ。 我が手を汚すしかあるまい…」 忠義の従者は引き下がらず安達殿の手より赤子を渡すよう嘆願します。 鎌倉殿の使者は安達の様子に腹を立て横柄な態度で事を急かします。 安達殿は決心をすると…従者を遠ざけ由比ヶ浜の波打ち際まで足を運びます。 赤子に巻かれた布切れを剥ぐと泣き喚く赤子を押し寄せる波間に沈めます。 波間の中でゴボゴボと息を吐き出す赤子のひたすら切ない哀しげな姿を垣間見る… 安達殿は断腸の思いでした。 赤子の苦悶の表情が途絶えるまで安達殿は波間に赤子を沈め続けるのでした。 「南無八幡大菩薩…南無八幡大菩薩…南無八幡大菩薩…南無八幡大菩薩…南無… 赤子の往生、お頼み申す 南無八幡大菩薩…南無八幡大菩薩…南無八幡大菩薩…南無.. 」
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