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静庵
それから宥心尼は讃岐の山間にある鍛冶池の脇に草庵を結びます。
宥心尼は池禅尼とともに念仏を唱えながら日々を過ごしていきました。
宥心尼は念仏を唱えながらも…
今でも変わらぬ豫州を恋い慕う気持ちで胸は膨らんでいたのでした。
宥心尼の心奥には豫州の赤子を奪った磯禅尼に対して怨みがありました。
決して豫州への思いを母に曝すまいと注意深く振る舞っていたのでした。
しかし、体調の衰弱は激しく宥心尼は常に病弱で母の手を借りる以外に生きる術はなかったのです。
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