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雪裸
11月17日、静御前は吉野山の執行僧兵に蔵王堂にて夜中に保護されました。
静御前の、その時の姿は一糸も纏わぬ裸身で肌身を露わに震えておりました。
深雪に覆われた吉野山の山道で、あまりに怪しい風体を不審に思った僧兵は静御前に尋ねます。
静御前は豫州に金銀類を渡され京に向かうよう指示されたことと……
従者と共に下山の途中、従者に身包みを剥がされ財宝を総て持って行かれ手込めにされ山奥に棄て置かれた旨を吉野執行に伝えました。
裸身で凍えながら必死の思いで雪深い坂道を踏み分けて、やっと蔵王堂まで辿り着いたとのことでした。
凍てつき傷を負った肌身を震わせている静御前の姿は艶っぽく吉野執行は目のやり場に困ってしまいました。
剥き出しになっている柔らかそうな乳房が、やたらと目に付きます。
全裸の静御前は乳房を両腕で抱えるようにして震えておりました。
吉野執行が、よく見ると御前は手に包みを隠し持っていました。
吉野執行は、その包みが何かと詰問します。
静御前は包みを開けて中身の鏡を見せます。
静御前は価値など全然ない単なる鏡だと言いはりました。
吉野執行は御前の言葉を信じませんでした。
静御前は唯一残された持ち物ゆえ見逃してくれるよう執行に訴えました。
吉野執行は気の毒な静御前に、あえて鏡のことは聞きませんでした。
吉野執行は近くに義経の郎党がいることに確信を持ちました。
翌日、多くの修行僧兵を吉野山に派遣し隈無く捜しまわったのですが…
義経の郎党は誰一人として見つかりませんでした。
静御前の身包みを剥いで逃走した従者も、また決して見つかりませんでした。
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