プロローグ

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 ──愛。  それは誰もが持つ温かさにして人を傷つける心の刃。それも諸刃の刃だ。  想い想われることで救われる人もいれば、愛を失って生きる希望を見失う人だっている。  その力は絶大かつ絶対。もはや運命と呼んでもいいのかもしれない。  愛なんて、知らなかった方が幸せだ。  そう思う人がいても不思議じゃないし、誰にも責めることはできない。  それが、愛。  それでも──今日も人々は愛を求めて日々を生きていく。  愛に飢え、必死に闇の中に手を伸ばす人。  手にした愛が消え去ることを恐れ、繋ぎ止めようとする人。  愛を失い、生きることを放棄する人。  様々な人たちを抱え、今日も世界は愛の螺旋を巻き続ける。  高く、高く、どこまでも高く。  ──そして、そんな世界で少年と少女は出逢う。  別に運命なんて大それたものは感じなかった。  むしろ、お互いを嫌い合ってさえいた。  それでも二人は。  笑い、泣き、怒り。  そしてまた笑い。  いつしか互いの存在を必要とし合い、そこに愛という二人だけの想いを見つけだす──  これはそんな二人の、少し素直じゃなくて不器用な物語。  
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