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これと親友とか、あたしすごくない?
誰か褒めてよ。
多分、柚希にこの胸中がバレようものなら、次の標的になるのは間違いなくあたしだから、表だっては言えないんだけれど。
あたしから少々乱暴な扱いを受けている夏樹ではあるけれど、柚希の相手はその比ではないらしく。
無表情から繰り出される辛辣な言葉の数々に見る見る内に疲弊し、ついにあたしにすりよってきた。
「五十嵐恐い……」
「よく頑張ったね。よしよし」
よく分かるよ、その気持ち。
あたしは夏樹の味方だからね。
慈しみを込めて夏樹の頭を撫でてあげる。
共通の友人から負った傷を舐め合うあたしたちだった。
これだからバカップルって言われるんだよなぁ……。
「はぁ……もうやってられない」
当てつけにしか思えない行動に柚希の堪忍袋の尾も限界がきたらしい。
携帯を取り出すと、どこかへ電話をかけ始めた。
あたしと夏樹は、柚希の冷徹な無表情に恐怖し、お互いの身をさらに寄せ合う。
電話はほんの数十秒で終了し、柚希は携帯をしまうとあたしたちに鋭い視線を向けてくる。
どう楽観的に考えても、無事では済まなそうな展開……。
夏樹に巻き込まれ、いつのまにこんなポジションについちゃったんだろうあたし……。
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