若返りの実

2/4
前へ
/20ページ
次へ
  「一三?さっきから、どうした?」   「…え、い、いや!なんでも…」     帰りの車の中でも、一三は『若返りの実』というものが、頭から離れない。     (もし、本当にそんな物があるなら…五郎とやり直したい。 今なら、同性愛も、だいぶ理解されて来ているし…)        翌日、一三は1人で、噂の実を探すために、林の中へ。      「僕は、何をしてるんだ…もう70の男が…」     一三は、そんな思いを浮かべながらも、奥へと向かう。     『それが、実際に食べた人がいるらしいんですよね。その実は、キラキラ光っているから、すぐに判るそうですが』     本屋の店主の話が、頭の中に浮かんでくる。       「キラキラ光る実…か」     一三は、休憩しようと、切り株に腰かけた。   そして、おにぎりを頬張る。   「若返ったら、五郎と…どこかで食べたいなぁ。よし!」     おにぎりを食べ終わると、一三は再び、噂の実を探し始めた。    
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加