若返りの実

4/4
前へ
/20ページ
次へ
  五郎だけが、お酒を呑みながら話をしていた。 なぜなら、一三はお酒が呑めないから。      「一三、今日は何をしてたんだ?昼間、家にいなかっただろう?」   「ああ、少し出かけてたからな。それより五郎、僕が漬けたタクアンは、どうだ?」     一三は、あの実を混ぜたタクアンを出す。     「ん?一三、なんか、このタクアン光ってないか?」    「そうか?気のせいだろう」     一三は、とぼけて、五郎をチラッと見る。     「そうか。じゃ、いただくかな」   五郎が、タクアンを箸でつまむ。 一三は、じっとそれを見つめる。     「…ん、うん!一三の漬け物は、なかなかだ」   「なかなか?なんで、うまいって言わないんだよ」   一三は、ホッとして自分もタクアンを食べる。 あの実が入ったタクアンを。     やがて…2人は眠ってしまった。 そして、朝を迎える。  
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

198人が本棚に入れています
本棚に追加