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『メルト ~なんてね~』
「今日は晴れって…。」
天気予報がウソをついた。
土砂降りの雨が降っている。
こんな中帰ったらびしょびしょだよ…。
かばんの中をガサガサしていると、中からかばんに入れたままの、折りたたみ傘が出てきた。
なぜかうれしくない。
雨を見つめながら、ため息をついて、帰ろうとしたその時。
「しょうがないから、入ってやる。」
え?
声のほうを向くと、隣にいる君が笑っていた。
ドキン、ドキン。
胸に、恋に落ちる音が、響いた。
二人での、帰り道。
あまり会話があるわけではない。
私は緊張で、息がつまりそうになっていた。
自然に、君に触れる右手が震える。
ドキン、ドキン。
高鳴る胸。はんぶんこの傘。
知らない人から見たらカップルに見えてたりして。
って、そんなわけないよね。
手を伸ばせば届く距離にいる君。
ドキン、ドキン。
どうしよ………!
想いよ届け。 君に……。
こんなんで届いたら、苦労しないよね。
君との帰り道。
想いは膨らむばかり。
お願い時間を止めて。
泣きそうなの。
雨の雫に紛れて、目からも雫が落ちそうになる。
でも、でも嬉しくて、死んでしまいそう。
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