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今期初マフラーを首に巻きながら、僕は小さく息を吐いた。
思わず目をやる窓の向こうは、一面の白。
この秋いちばんの冷え込みを記録したという11月の朝、あっという間に町中は白に染められた。
―――あぁ、今年もこの季節がきたのか…。
けして楽しいことばかりをもたらすわけではないその白に、未だどこかで弾むような気持ちを隠して、僕は部屋を出る―――
「…っと、」
―――前に、ドアノブをひねったところで、足を止めた。
すぐ傍にあるデスクの上から、つるりとした感触の“それ”を拾い上げ、手持ち鞄の中に放り込む。
もう一度だけ窓の向こうに目をやってから、今度こそ、僕はドアを開け放った。
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