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あ~今月はバレンタインがある。教室はその話題でいっぱい。
あたしは雷田美香、みかんってあだ名。らいたってこの辺じゃ珍しい名字の高校一年。一応彼氏がいるんだ。ツバサって同級生。いつも何故かチョコレートをかじってるから、友達と勝手にガーナ君って呼んでる。
あたしは1組、ガーナ君は10組の進学クラス。県内屈指の有名進学校。彼の存在を知ったのは学校の通学途中だったかなぁ。
あたしは隣町から電車で駅から坂を上って学校へ歩いて行くの。
彼は学校がある市内に住んでるようでチャリンコに乗ってて、時々学校の門近くでたまに見かけた。
玄関は二つあって残念ながら違ったの。あたしはスカート長くて風紀委員にしょっちゅう門でひっかかってさ。でも彼を間近で見たきっかけになったの。
それからずーっと気になって学校に行くのが楽しかった。だけど毎日ドキドキだけじゃ満足出来なかったの。
告白するしかないと、夏休み前に仲のいい女友達と三人で長い廊下を昼休み歩いて10組まで行った。友達が呼んでくれる手筈で、あたしは下駄箱のところにドキドキしながら隠れてた。
「みかん、来るよ!」
そう言って友達が走り去った。
昼休みだから廊下や外は賑やかなのに、あたしの場所だけは静かに感じた。
誰かが近づく足音だけがした。
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