バレンタイン

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「あのぅ…」 彼だった。 「あっ、急に呼び出しちゃってごめんね」 しどろもどろのあたし。彼も少し頬がピンク色だ。 「あの、1組の雷田美香って言います。彼女いなかったら付き合ってほしいんだけど…」 緊張のあまりその場に突っ立ってたあたし。 「俺?」 「うんっ」 「付き合うよ」 「‥‥‥」 あまりの即答にびっくりしちゃってさ。彼が言った。 「鬼頭ツバサだよ」 「鬼頭ツバサ君…」 その後何を話したのかなんて覚えていない。昼休みが終わるチャイムが鳴って教室にダッシュした。 彼はサッカーの部活に入ってて、弱小な学校ながら夏休みも練習があった。 「お弁当作って練習見に来てくれないかな」 初めて誘われた言葉ー、今でも忘れない。 ヤンキーで知らない間に裏番と言われてたあたし。 進学クラスの彼。 そんな二人の噂はすぐ広がって、知らない連中があたしのクラスに見に来てたぐらいよ。 学校帰りに偶然会って、彼のチャリンコに乗って駅まで進学のことやガーナ君のお家のことを話した。 そう、デートはなんだか約束したけど実現しなかったの。 駅に着くとみんなが羨ましそうに冷やかしたけど、本当にプラトニックな付き合いだった。 それでもお互い好きだった。そして冬休みもあっという間に過ぎた‥‥‥。
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