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それはある日。本当に突然のある日だった。
あたしはヒカルに買い物に行くね、と声を掛けて家を出た。
ヒカルはいつものようにレポートをしている手を止めるとあたしのことをきつく抱き締めてキスをした。
何度も何度も髪を撫でると気をつけて、と言った。
あたしは元気よくヒカルに手を振った。
あたしはお気に入りのスーパーに向かう。ヒカルの家から一番近いスーパーだ。片道2キロもあるけれど。
今日は大トロが安くなっていた。50パーセントオフ。
それでも高い。ほんの少しで500円だ。あたしは散々迷ってからカゴにいれた。
だってヒカルは本当にお刺身が大好きだから。
あたしはヒカルの好きな食べ物を作ろうと頭の中で料理の順番を考えながらスーパーの袋を下げて家に戻った。鼻歌を歌いながら。
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