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【神話】
一つ、昔話をしよう。
まあ、とは云え、なのだが……──────
これは、後日談であり、後日譚から始まる『その後』の物語だ。
幾百、幾千、幾万、幾億の…………
これは、挫折にまみれた物語だ。
これは、後悔に喘ぐ物語だ。
これは、失敗に塗り潰されていく物語だ。
『始まり』に至るまでの。
そんな物語だ。
しかしながら、この物語には、すでにバッドエンドしか残されていなかった。そんな物語の中で、希望の残り火を探し続ける登場人物達。
それはさぞ…………──────
もし、1つのエンディングが気に入らないからと、物語を始めからやり直せるとするなら……そして、そんな権利を持つ者が、よりにもよって、最低最悪の結末にこそ、愉悦を見出だす様な、最低最悪な人物などではなかったのなら。
この物語は、ここまで最低最悪な結末を繰り返す事もなかっただろう。しかし、彼等には間違いなく、すがりたい物語が、そこにあったのだろう。
「──────故に、ね……だからこそ、私は、この能力を【バッドエンド・コレクション】と呼んでいるのだよ」
「────結局のところ、こうして私と君は、今、こうして敵対関係となり対峙している結果となったわけだが」
「君は、私の名前を気にするのかい」
「暢気な事だ」
「……………」
「まあ」
「いいだろう」
「私を呼びたければ、ただ、悪役と」
「そう呼ぶといいよ」
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