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「…………」
男は、眠り込んでいるかのように見える。
伸び放題のボサボサの黒髪は、凡そ流行やファッションといったものからは無縁だと窺えた。
……旅人なのだろうか。
不精、という単語が、実によく似合う男であった。
「……、そろそろ時間か」
不意に男が顔を上げる。
背丈は185㎝……衣類の上からでは分かり難いが、優男には見えない。
男は、面倒臭そうにガリガリと頭を掻き毟る。
「ちっ……煩わしいもんだな……あの野郎に“使われる”のも、“お前等”の存在も」
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