【地獄に近き楽園】

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 人類の天敵、悪魔に抗し得るグリモア使いは、どう悪魔と闘っているのか……。  人類は謙虚に敵を師とし、悪魔から学んだ。まず、目を付けたのは悪魔が操る術――魔法陣に呪文から成る超常現象…魔法だ。  一部の悪魔達が持つ、魔法という文明技術を、人類は盗み、そして、学んだ。  魔法のプロセスとしては、精神力の産物である魔力を操り、呪文を唱え、魔法陣を描き、起動…だが、元々は悪魔達の文明。  それを解析し、理解し、習得するには幾星霜の歳月が必要であった。  数ある魔法の種類、属性等を全て習得するには、人間の寿命は余りに短かった。  グリモア使い達も、得手不得手ある数種類の魔法…人によっては一つしか魔法の使えない者さえいる。  現在、確認されている魔法は、傷や生命力を癒やす《回復系》、筋力を向上させて攻撃力を増したり、魔力による膜を張り、防御力を増す《強化・補助系》……そして、各属性系統に分かれた《攻撃系》だ。  この《攻撃系》が最も複雑だが、幅広くグリモア使いに浸透している魔法でもある。  まず、属性は《炎・風・雷・氷・地・光・闇・無》の8つに大別される。  使い勝手は、無属性だが。耐性属性を持つ悪魔が居ないが、威力は特別高いわけでもなく、また、極端に魔法防御力の高い悪魔には効果が薄い。  光と炎属性には、耐性を持つ悪魔が中には勿論いるが、高い威力を持つ魔法が揃っている。  尤も、高威力の魔法は当然、それに応じて消費魔力も多くなるのだが。  魔法は使い方もバリエーションがあり、対象へ向けて“放つ”一般的な使い方があれば、武器であるグリモアに纏わせる使い方もあるのだから奥が深い。  中でも、回復系と補助系を同時に起動させる、身体能力の一斉強化状態となる使い方を、グリモア使いが開発した時には世の研究者達を身震いさせたものだ。
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