【地獄に近き楽園】

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 グリモア使いが最も警戒すべき天敵が居る……それが、《闇憑き》と呼ばれる連中。悪魔に自身が最も大切にしている人間を差し出す────もしくは、それ以外の何かを差し出し、引き換えに悪魔の力の一部を得た元・人間の総称。  多くの場合、肉体的に人間のそれを遥かに凌駕しており、特異な能力を有する。  また、人間として、人格が一部壊れている。ただの狂人の場合すらある。  力を与えたのが、下級悪魔ならばまだ対処の仕様もあるが、上級悪魔の場合……一介のグリモア使いの手には負えない。グリモア使いも、隷属悪魔を従えているが、まともな方法では自身の力を超える悪魔は喚び出せない。  《闇憑き》は、まともな方法で悪魔を喚び出していない……故に、自身の力を超える悪魔をも喚び出せるのだ。  一部のグリモア使いが、《闇憑き》になるケースがある。所謂、アルカナの身内から出た不祥事、不始末である為、世間には、それが漏らすわけにはいかず隠語として《闇堕ち》と呼んでいる。  北の最果てに、悪魔だけが生息するラプラシア大陸があり、《闇憑き》《闇堕ち》だけが暮らす都ノクターンがある。アルカナは50年前に、悪魔と《闇憑き》《闇堕ち》の殲滅に乗り出し、ラプラシア大陸へ戦力の大半を注ぎ込んだ総攻撃を仕掛けた過去がある…結果、作戦に参加した部隊は全滅した。  万単位の人間が、悪魔の餌へと変わっただけの惨劇。  アルカナが元の戦力を取り戻すのに、30年掛かりとなった。以降、アルカナは世界へ呼び掛けラプラシア大陸へ近付く事を禁忌とし、人々は過去の悲劇を忘れてはならぬと……────  歴史に残るこの傷痕を、人類は────  【グランギニョル・カーニヴァル】と名付けた。
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