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カミールはネロの顔を見ると、上機嫌な様子で紅茶をカップに注ぐ。
「君がこの部屋に来るなんて久しぶりだねぇ! …今日は何の用なんだい?」
ネロは無言で愛銃グレイヴの銃口をカミールへ向ける。
「貴様が…非番の俺に‥非常回線を寄越し……緊急召集だと…ぬかしやがったんだろーが」
「あれ?そうだっけ?」
ネロが撃鉄を起こしたので、カミールはカップに口を着けようとしたのを止めた。
「冗談だよ♪ うっふふふふっ。じょ~ぉだんっ☆」
「笑えねぇよ」
「もぉ~う…僕は、君の上司なんだよ?
言葉遣い悪過ぎじゃない?」
「用件はなんだ?」
「あれ‥無視ですかー…まぁいいや。
とにかく、君が来るのを待ってんだよ」
カミールは、A4サイズのプリント用紙数枚をネロへと手渡す。
「それじゃ、今回の任務について説明するね!
砂漠の孤島で知られるアンクヘイヴ半島に、“森”の出現を確認したんだ。至急、調査をお願いしたい」
ネロの表情が固まる。
「なんつった今…“森”だと?」
「イエース」
親指を立てて満面の笑みを向けるカミールの、その親指をべきりっ! と曲げてからネロは思考する。
「うぎゃああああ」
…バカな‥砂漠に森? 俄には信じられんな。悪魔の仕業なのか?…
「ぎゃああああ」
受け取ったプリント用紙には、ある考古学者が砂漠の遺跡調査に立ち寄り、三日前に砂丘に突然オアシスが出来たのを発見した。不思議に思った学者だが、一晩そのオアシスで夜を過ごすと、オアシスがジャングルに変わってしまったとのことだった。
「あぎゃああああ」
学者は、こんな現象見たことが無く、すぐにアルカナに連絡をとった。すぐに、調査隊が派遣されたが、環境が変化したことで、悪魔が集まり事態は更に悪化していた。
ネロは、記事の内容の一文に気になるものを見つけた。
…“森の中で、魔力反応を感知した”だと?…
この地上世界では、生命の精神から生成される産物とされる魔力――それが森の中で、反応をキャッチしたということは‥…
「ああああ!!」
「カミール、煩い。今は考え事してんだから、静かにしていてくれ」
「指! 指がああ! 僕の指がああ!!」
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