第一章・二節【聖杯の師団長カミール・ルヴィ=オラム】

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 エリスは、理想的に幸せな家庭を持つ願望がある。 家族というものが、最初から自分に無かったものだった。そのせいか、彼女の夢は夫と子供達に囲まれた生活だった。  ネロは、悪魔を殺しその先をどうするのかを考えていない。極端な話……今、世界中から悪魔が居なくなったら彼が生きる目的が無くなる。  悪魔に自分の命以外の全てを奪われた男は、悪魔無しには生きられない人生を歩んでいた。  そして、カミールは……──── 「あー…話を戻してもいいかな?」  任務の説明を続けようと、わざとらしい咳払いをするカミールに、2つの視線が定まると、彼は満足したのかにこりと微笑む。 「今回は、Aランクの悪魔出現を予想される点を考慮して、任務危険度レベルを引き上げるよ。 それに伴って、任務はちょっと大所帯で臨んでもらうよ。 ますば、《聖杯》から “クラッカー” マーカス=J・ブランク 同じく《聖杯》の “蟲毒<チュウドク>” シュウ=ヒイラギ 《杖》からは、 “賢者” ジェノス=グラシアス 《杖》からもう一人、 “歌姫” ルシア=アグネア 《聖剣》からも、ネロ君以外に一人予定してるけど、まだ未定だね。 あとは、《金貨》、エリスちゃんにもう一回あそこに行ってもらうね!ネロ君は、今回、現場で指揮を執っちょーだいっ!」  ネロは面倒くさい。誰か別のやつに指名しろ!と、表情で訴えた。 ……カミールに無視されたが。
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