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いつも通り、荒々しくドアを開け部屋にずんずんと入るラルク。
透がいくら男勝りだからと言ってこの行動は女性に失礼だ、と普通は思うが、透である。
男の中でも浴びるように酒を飲み、男を足で蹴り倒す透。
そんな透に、ラルクは最近女として見れなくなってきたらしい。哀れ。
だからこその行動だったが──何かおかしかった。
ベッドから唸り声がするのだ。
『…け、て…う…』
時折ゴソゴソと布団が動き、恨めしげに聞こえてくる声。
ホラー系統が大の苦手のラルクは思わず体を震わせた。
足音を立てないように近づき、透のベッドの布団の端をつまむ。
ふと、透の寝起きがすさまじく悪いのに気が付く。
「……」
ここまで来たら腹を括るしかない。
ラルクは覚悟を決めて、思い切り布団をめくりあげた。
──が、何も起こらなかった。
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