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いつもの酒場、まだ冒険者がごった返している中、アサトがうなだれていた。それをグラスを拭きながら見守るアルミナ。
そんな時、酒場のドアが荒々しく開いた。
そこには、明らかに負のオーラが漂うラルク。目が血走っているのは気のせいだと思いたい。
瞳孔が開いた目でぐるりと酒場内を見渡す。その只ならぬ雰囲気に、騒いでいた冒険者達は早々に席を立ち去っていった。
ラルクはカウンターにいるアサトを見つけると、素早く大股で近付く。
それに気付いたアサトが軽く「よう」と言おうとしたが、叶わなかった。
「アサトォォオオ!!!!」
「うぇえぇラルク!?あっぶないな、どうしたんだ一体!?」
いつものさん付けは消え失せ、殺気十分でナイフを向けてきたラルク。アサトはヒヤヒヤしていた。
「まさかそこまで飢えてるとは思わなかった!いっぺん死ね!!!!」
「何の話だよ!?
ちょ、説明してくれ!」
手を前に突き出しストップとばかりにそれを振る。そんなアサトの態度に益々ラルクの怒りがこみあがった。
「知らないとは言わせるか!今日、透が寝たきりで吐くわ腰がダルいわ…聞けばアサトが昨日会ったとかな!」
その言葉に目を見開くアサト、後ろにいるアルミナ。
「ラルク、落ち着け。
まずだな、昨日の事だが──…」
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