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「はい。」
テーブルに置かれたカップも、白いだけでシンプル。
一口すすると、ココアの甘味が口いっぱいに広がった。
「あったかい…」
「私はシャワー浴びて、バイトに行ってくるから、ここで自由にしてな。ベッドで寝ていいし。風呂入ってもいいし。」
「え!今から?」
時計を見ると、もぅ深夜の1時。こんな時間から、16歳が働けるわけがない。
「そんなにかからないで朝には帰る。」
私は、祐樹がどこへ行こうとなんの疑いもしない、という風に装って、「分かった。」とだけ言ってココアをひと飲みした。
「何かあったらかけな。」
と携帯の番号だけ紙に書いて置いて彼女はそそくさと、シャワーを浴びて、出て行った。
辺りを見回すと、必要なもの以外置いていない部屋に、なんだか安心感を覚える。
私は何もしないまま、ソファーに横たわり、身体を丸めた。
いつのまにか寝てしまったみたいだった。
「ただいま」という祐樹の声で、目が覚めた。
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