28人が本棚に入れています
本棚に追加
ガバッっと、私は飛び起きた。
周りを見渡すと、もう薄暗くなっていて、電気をつけないと何も見えない。
毛布がかかってる。
祐樹だ………。
そんなことを考えていると、玄関の方から音がした。
ガタガタと乱暴に扉を開ける音がする。
私はまた毛布をかぶって、寝たフリをした。
「ゆうき~、起きろ~。」
男の声だ。
彼氏………かな…。
薄暗い中で知り尽くしているように部屋をうろついてから、ベッドの部屋へ行って、祐樹に擦り寄ってるみたいだった。
「てめー、また来たのかよ~。」
祐樹の声が聞こえて、しばらくして、音が聞こえてきた。
二人はキスしているようだ。
「ん~。」
祐樹がもぞもぞ動くのは見えるが、はっきりとは見えなくて、すごくドキドキする。
「あ~もぅ!やめろっ!帰れっ!」
また祐樹の声がした。
男は祐樹に覆い被さってるように見える。
「え~……なんで~??こんなにユウキちゃんのこと好きなのにぃ~!」
「うるせ~やつ…」
祐樹の声が曇っている。
「………で……仕事うまくいった?」
おどけた声から、急に真剣な口調になる男が私は少し怖く感じた。
「あぁ。もぅ少しで聞き出せるから、待ってろ。それと、今日は帰って。顔見たくない。」
しばらく沈黙して、男が立ち上がった。
「分かったよ。」
と迷わず玄関へ…。
仕事って何をしてるんだろ?
あの男は彼氏なのかな?
なんで一人暮らしなんだろう?
祐樹は私と同じ年なのに…
親はいるのかな…。
何か悪い事でもしているんじゃないか?
そんな疑問たちが、ぐるぐると頭をかけ巡った。
最初のコメントを投稿しよう!