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しばらくすると、居酒屋に移動しようということになって、8人という大勢で、ぞろぞろと歩いた。
私はやはり黙ったまま、一番後ろを歩いていた。
ため息まじりに歩いていると、さっきの軽そうな男が、私の肩に手をかけて、また、2人で抜けだそうと巧みに私を誘導した。
皆の輪から離れ、手を引っ張りどんどん進む彼に、私はまだ何が起きたか分からない。
「どこに行くの?」
やっと出た言葉。
私はここから帰る道が分からない。焦っていた。
後ろを振り返ると、暗闇にみんなが消えていくのが見えた。
居なくなった私たちには、誰も気づかない。
「いいじゃん。少し歩こう。」
そう言って、どんどん人気のない道へ、歩いていくのだ。
怖い。
私はやっと状況が飲み込めた。
掴まれた手首がジンジンと痛む。
さっきより、暗く細い道が見えた。
ここへ入れば、きっと私は逃げられなくなる。
「私帰るよ。」
私は彼の手を振り払って、思い切り走った。
彼の顔も見ずに、走ると、目の前が白い息で真っ白になった。
目の前が真っ暗で、でも必死に走った。
彼の息遣いが聞こえてきた。
私は全力で走ったつもりだったけれど、次の瞬間、私は肩を掴まれ、彼の腕が私の肩から動かなくしてしまった。
怖い、怖い怖い。
必死に抵抗した。
蛇みたいな目は笑っている。
彼の手が私の手をはねのけ、もう一つの手は私の身体を壁に押し付けた。
壁に押し付けられた背中がひんやりとして、またすごく怖くなる…。
「や…やめて…っ!お願いっ…」
「大丈夫だよ。じっとしてて」
そう言って彼は唇を首筋に押しあててきた。太ももの間に足を入れられ、恥ずかしい格好をしてる。
暴れても暴れても、男の力には勝てない。
「いや!いやだ!誰か助けっ…て!」
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