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「あのぅ…スミマセぇン。あの、誰かいませんかぁ ?」
人の気配が一切しない。けれど、なかは人がいることを裏付けるように、書類らしきものが乗った事務机にコーヒーカップ 、そしてノートパソコンがある。今は留守なのだろうか。これでいないなら仕方がない…。理子は大きく息を吸った。
「スミマセン!!どなたかいらっしゃいませんか!!」
「うるさい!!何度も言わなくてもいいだろ!!」
そういって奥の扉から出てきたのは、黒いベストを着た、猫のような顔をした男だった。
「…ガキか。…おい!ここはガキの来るような場所じゃねーぞ。さっさと帰れ!」
猫のような大きな瞳に細い顎。漆黒の髪の毛は肩より少し上。背はそこそこ高いが、どうみても理子と同じくらいの高校生にしか見えない。
「おい!ぼっとしてないで帰れ!」
「あの、ここは津賀探偵事務所…ですよね?」
目の前にいる乱暴な言葉遣いのガキに、理子は恐る恐る訊いてみた。
「そうだけど…。なんだよ?」
(あぁ、何でこんなに上からものを言うのだろうか)
「あの、不思議、といいますか…謎の失踪事件とかって、調べてくれますか?」
男はため息をついた。それから伸びをして机に向かった。
「鳥目ぇ!客だ。」
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