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「さぁ、どんな事件なんだい?」
鳥目と呼ばれて出てきた男は、かなりの長身で黒ぶちの眼鏡をかけている。鳥のような(鳥というよりはカラスだが)賢そうな雰囲気だ。鳥目とはどういった意味なのだろうか。見た目のことをいうのだろうか。
「え?あ…えーっと、鳥目…さん?あの…津賀探偵事務所ですよね?」
「そうだよ。」
さっきの乱暴な男とは全く異なる人のようだ。その言葉遣いは丁寧で、口調は穏やかだ。
「津賀さんじゃなくて、鳥目さんですか?」
鳥目は顔に苦笑を浮かべながら言った。
「まぁね…。あんまりそこは気にしないで。」
一瞬の沈黙。鳥目は目を背け、乱暴者は空を睨んだ。
「それより…話を聞こうじゃねぇか。ようこそ、津賀探偵事務所へ。俺は猫目。ここの所長代理だ。こっちは鳥目。今回はどういったご用件で?」
猫目。それがこの乱暴者の名らしい。
猫目は机の上を探りながら鳥目に何やら指示を出した。そのまま猫目は机に腰掛け何か書き始めた。
「先ずは名前、次に依頼内容、それから、依頼の理由を詳しくね。」
鳥目が猫目の言葉を継ぎ、理子の相手をし始めた。
「あたしは…奥村理子といいます。お姉ちゃん…いえ、姉を探して欲しいんです。」
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