南蛮船

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「同じ事でっしゃろなぁ 」 「?」 「本国では、ほれ、京の 五山の坊さんでも、そう でっしゃろ。 公家、武家出身の貴族さ んが出世して、庶民の出 では、いくら勉強が出来 ても日の目は見まへん」 「良くて地方の末寺の住 職に就ければ上出来と言 う訳じゃな」 「ところが、ここに来て いる伴天連さんは、それ すらも願ってない」 「出世では無いと?」 「さいだんなぁ、出世な ど、毛ほども考えてまへ ん様でんなぁ」 「出世でも、裕福な暮ら しでも無く、何を求めて 冒険を?」 「純真な信仰」 「信仰?」 「その心が人の心を打ち 、信者を増やしてるのん と違いますか?」 「確かに、我が国の坊主 共とは異質な情熱を感じ るが」
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