南蛮船

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「大損やな」 「左様で、騙された、と 思う。 しかし、相手にしてみれ ば、その小さな小さな団 子が普通の大きさの団子 じゃ、騙したつもりは、 毛ほども無いときた」 「まともな商売がでけへ ん」 「そのとうり、織田領内 では、別に現物を見ずと も帳簿だけで取引が出来 るが、他領となると必ず 現物を見てからでなけれ ば、値がつけられぬ、と 言った食い違いが生じま す」 「なるほどね、商売のや り方まで変わってきちゃ うんだ」 「坊様にもご理解いただ いたところで、さあさ、 食堂へ参りましょう」 食堂のテーブルに着き、 姫巫子は少し奇異な感じ がした。 「宗久殿、伴天連さんが 人は神の前では平等だと 説いていたが、この感じ では、南蛮にも階級が有 る様ですね」 「姫、ことさらに伴天連 が平等などと言うのは、 厳しい階級が有るからで ございますよ」
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