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「いえ、姫巫子様が御着
きになる少し前に、代官
所に届けられました。
役目上、目をとうしても
良かったのですが、姫巫
子様に直接渡す様にと命
じられましたので、読ん
ではおりませぬ。
ですが、使いの者が口頭
にて、浅井備前守最後の
様子であると」
「そうですか。
で、他に指示は?」
「姫巫子様の便宜を図る
様にと」
「では、もう下がって良
い。
用が有れば代官所に使い
を出しましょう。
我々だけに、してもらえ
まいか」
「わかりました。
何用でも御申し付け下さ
いませ」
「御苦労であった」
松井有閑殿が部屋を辞し
た丁度その頃、皆の回し
読みが終わっていた。
宗久殿が煙草盆の灰置き
で手紙を燃やしている。
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