二つの思惑

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「わぁ~…」 街の入口に立ち、少女は驚いたように声を上げた。 「すごいね、今日は何かのお祭り?」 行き交う人、人、人。 「えーっと、たしかそろそろ"再誕祭"の時期ですからそのせいじゃないですか?」 「あーそっかそっか。」 よく見ればみんなせわしそうに行ったり来たりしている。 ―再誕祭― 伝承では、この世界は滅亡の危機に陥ったことがあるという。その危機を救ったのが、この世界の"神"とされる"救世神(または創造神)エリア"だといわれている。 世界は一度死に、そして蘇った。ゆえに“再誕”。 それがちょうどこの時季とされ、国中のあちこちで"神"への感謝と息災を願って祭りをひらいている― 「で、どこにあるの?その『先生』の家は。」 「えーと、たしかこの通りの先ですね」 指差したのは、人混みの先。 「よーしいってみようっ!」 腕を高々と上げて少女は元気よく歩きだした。 「あっ。待ってくださいソラ様。こっちに迂回できますよ!」 「大丈夫よアリア。それにこっちのほうが近道なんじゃないの?」 「それはそうですけど…」 「よーしいってみようっ!」 「はぁ… わかりました、もう好きにしてください。」 そして2人は人混みに突っ込んでいった。
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