愛しきもの・その始まり

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店から碧が運ばれた病院まではタクシーで15分程度。その間に連絡を取ろうとするが彼女に一番近しい弟の剣助と義兄の幸宏は海外にいるため連絡が難しい。 仕方なく剣助の義父で二人の叔父である英聖に連絡を取って二人にどうにか伝えてもらうように話す。碧が倒れた事を話すと詳細を聞こうとするが自分も今向かっていて詳しい事を知らないと伝え「後でまた連絡します」と言って電話を切る。 とにかく今は彼女の無事を祈るしかない。タクシーに乗っている間の15分が永遠のように長く感じられた。 やっとのことで病院に着くと釣銭を貰う時間も惜しくて樋口さんを一枚叩きつけて飛び降り救急へ駆け込む。ただでさえ人相が悪い上にかなりきつい目になっていたらしく受付嬢に怯えられるのも気にせずに言う。 「さきほどこちらに運ばれた荒垣碧の夫だが、碧は今どこに!?」 そんな事をかなりの剣幕で言うので病院事務員の若い女性はもう涙目になって逃げるような感じでビクビクオドオドと荒垣を案内するが、生憎碧の事で頭がいっぱいの今の彼に事務員に気を配る余裕などない ようやく連れてかれた病室につくと… ベッドで点滴を受けながらも看護師と楽しそうに話をする碧の姿が見えた 「あ、碧ッ!!」 碧の姿を見るなり縮地のような瞬間移動で彼女のそばに駆け寄る荒垣。
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