愛しきもの・その始まり

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「今日倒れたのは結局つわりが原因だってことか。…そういや桐条から送られた夏ミカン凄い勢いで食ってたな」 「そういえばここのところ生理来ないからおかしいな…とは思ってたんだけど体調は悪くなかったから」 自分が気付けなかった事に腹が立つし彼女の鈍感さにも腹が立つ。全くこれで碧や子供の身に何かあったらどうするのか。 「バカ野郎が。…まあこれ以降無理すんじゃねえぞ」 「えー…でも仕事もギリギリまで続けた…」 「ダメだ!だーめーだ!!とりあえず体調落ち着くまでは行かせねえし、産休取れる時期になったら無理矢理でも取らせるからな。お前はもっと体を大事にしろ。ただでさえ自分をおろそかにする上にお前一人の身体じゃもうないんだからな!」 そう言って無理やり寝かせる荒垣。と、そこへバタバタと足音が響くと英聖がやってくる 「碧ちゃん!真次郎君!大丈夫かい?」 「あ、ヒデ叔父さん」 一応心配してきてくれたようだが二人の様子を見て察したのかホッとすると同時に楽しそうな笑みを浮かべる。 「その様子だと僕は孫を期待していいのかな?」 「ま、孫って…」 「剣助は僕の子供。碧ちゃんは剣助の姉。よって君達の子供は僕の孫!いやー40になる前におじいちゃんになるとは思わんかったけどね~。まあ倒れたって聞いた時にはうすうす予想してたんだけど」 そう言って快活に笑う叔父に二人は顔を見合わせて苦笑いを浮かべる。やっぱりこの人には敵わない。と、英聖が荒垣の背中をポンとたたく 「二人ともおめでとう!幸せな家庭を築くんだよ」 「…あ、ありがとうございます」
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