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◇◇
隻眼の男の目の前。後頭部が異様に発達した老人、近衛・近右衛門。
一瞬。あの鬼、妖怪の類かと思ったが本人曰わく、一応人間らしい。
「ふむ。お主の事情は把握したぞ。──つまり、気付いたらあの森に居た、と」
頷き、老人は顎に手を当て、なにやら考え込んでいる。
ここで老人の横に居た眼鏡の男、高畑と言ったか、その男が、
「まだ君の名前を訊いてなかったと思うんだけど、──良いかな?」
そういえば教えてなかったな、と暫し考え、
「……グラナ、だ」
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