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◇◇
日輪“天墜”。それが墜とされ、鬼の体は完全に炭化し、周りの木々は燃えている。
それを確認し、大男は踵を返す。もちろん、少女は忘れていない。
「大丈夫か──って大丈夫じゃなきゃそんなに蹲らねえか」
少女は身体を木に凭れかかせており、息も荒い。
その彼女を見、
「──歩けるか?」
「……いえ、大丈夫です」
そう言い立ち上がろうとするが、
「くぅっ!?」
激痛が走り、身体をくの字に折る。
「ほれ、言わんこっちゃない」
掴まれ、と手を差し伸べるが、受け取ろうとしない。
……警戒してんなあ。
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