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◇◇
……ふむ。
今、隻眼の男は部屋に居た。それも、ただの部屋ではなく、
……学園長室、だっけか。
先ほど、少女を担ぎ、街に着いたまでは良かったが、問題はその後だ。
……眼鏡を掛けた男に捕まったんだよな。
その眼鏡の男に捕まり現在に至る、と。
なにかぶつぶつ言ってたが、関係無い。しかも、学園長が来るまで待っててくれ、ときた。
……短気ってわけじゃねえから良いけどよ。
すると、ドアがノックされ、さっきの眼鏡の男が入ってきた。
「待たせて済まないね。──もう来るからさ、学園長」
「ったく、いつもこうなのか?」
「いや、今日は色々あってね」
眼鏡の男は始終笑みを浮かべている。正直気味が悪い。
そんなことを考えていると、
「あ、学園長」
来たらしい。
さて、と姿勢を正し、いつでも闘えるよう準備する。最悪のことを想定して、だ。本意じゃない。
……さあ対面だな。
そして学園長が、定位置なのだろう、一番奥の椅子に座り、
「ふぉっふぉっふぉっ。待たせて悪かったのぅ。──ワシが、近衛・近右衛門じゃよ」
妖怪が居た。
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