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『つまり、“北朝鮮軍を裏切れ”って事だね?』
『そう言うこった』
『ふふ、合点承知!
ここの兵は大体皆僕と同じように北朝鮮軍に無理矢理徴兵された人達だからね、僕らが働きかければ、この基地くらいは易々と奪い返せる筈だよ!』
『それは頼もしいな。
じゃ、まずは雪華が泊まってる宿舎に案内してくれないか?
こんな大荷物じゃ、作戦を説明しようにも終わった時にゃ全身筋肉痛になってそうだからな』
『いいよ、着いて来て!』
雪華は機敏に立ち上がると、戦闘服の土を払ってから自分のAK47を取り、肩に提げてテンポよく歩き始めた。
俺はいつの間にか熱く(暑苦しく)語り合っていたエバンスとリーにボディーブローをかまし、無理矢理二人を正気に戻して雪華の後を追う。
無論、その間も俺達は隠れながら進む事を忘れない。
悠々と歩いて別の巡回兵に見られたら、それこそ堪ったもんじゃないからだ。
壁沿いに四分の一周して、見えて来たドアを静かに開ける雪華。
寝てるヤツを起こさないようにっていう配慮だな。
素晴らしい。
『ね、ちょっと起きて!』
……………。
って起こすのかよ!
『んー……、なあにー……?』
『僕達はこれから一世一代の大仕事をするんだ!
起きなきゃ損だよ!』
『どゆことー……?』
『僕達の力で、ここから北朝鮮軍を追い出すんだ!!』
雪華は、静かに、かつ力に満ちた眼差しで仲間を見つめていた。
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