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『よし、これから、俺が立案した制圧作戦の内容を言おう。
現在時間0:20。
機甲部隊はもう20分もすれば到着する筈だ。
その時、君ら一般兵は多分、兵舎の前に並んでお出迎えってのをやると思う。
そうだよな、雪華?』
『うん、その予定になってるよ』
『OK。
それに紛れて、兵舎の各棟に信用出来る人間がいれば、この紙を渡して貰いたい。
回してくれ』
『何て書いたんだ?』
『いい質問だ、狼華。
その紙には、ハングルで『明日の早朝、我々はこの地を取り戻すために決起する。武器庫は開けておく、皆の協力を願いたい』と書かれている。
……雪華に聞いた話じゃ、君らはどうやら地元民らしいな。この基地の奴らが君らと同じ境遇だとすれば、少なくとも三分の一は決起してくれると俺は考えてる。
皆に、他の兵士達の説得を頼みたいんだ』
俺がそこまで言うと、彼女達に『やってやろう』という空気が流れる。
これでこそ若者だ。
だが、何人かは渋ったような顔で周りと目を見合わせていた。
『あの、お母さんやお父さん達は…………』
小さく手を挙げたのは、春寧。
俺の返答は既に決まっている。
『勿論、捕虜も全員救出する。
春寧、司令部の中に、特に厳重警備が為されていた場所は無かったか?』
首を傾げてうーん、と唸る春寧。
やがて、思い当たる節があったのか、ぱっと顔を上げる。
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