序章:幼い相棒

20/42
前へ
/64ページ
次へ
  時刻はAM0:37。 T-72Mのエンジン音と履帯(キャタピラ)が地面を鳴らす音が耳に届く中、俺達はしゃがみこむような低い姿勢のまま兵舎裏を疾走する。 武器弾薬庫に到達、すぐさま4m~5mある屋根の上に十字鉤ワイヤーロープを投げ、引っかかったのを確認して登る。 登り切ってからロープを一旦外してしっかりとくくりつけ、ロープを二度引き合図を送る。 二人が登ったのを確認、ロープを解いて武器弾薬庫と糧秣保管庫の屋根を横断し、屋根の縁に十字鉤を引っかけて下へと降りる。 俺の次にリー、最後にエバンスが降りてロープを外し、纏めて俺に渡す。 俺はそれを受け取って射撃訓練施設の幅30mを走り、反対側の金網を大型ニッパーで切る。 人1人分くらいの穴を潜ると、俺達は幅3mの道に出た。 その道を俺はSG550、リーはM16A4、エバンスはM4E2を構えて走り抜ける。 施設の角で一旦止まり、司令部の玄関を覗いて誰もこちらを向いていない事を確認して司令部側の陰へ渡る。 そこからは慎重に慎重を重ねた動作だ。 向こう側に俺達が見えないように窓の下を通り、裏口を探す。 但し、窓は一旦中を覗き、中に誰もいないことを確認してから通り抜ける。裏口が危険だった場合に侵入路にするためだ。 そうして進んだ先に裏口を発見、ここはエバンスに任せる。 コイツは、ピッキング技術は部隊一の腕だからだ。 …………あまり誉められた技術じゃないがな。 顔良し性格良し(基本的に)のエバンスが女の隊員にあまりモテないのは、そんなところが関係しているらしい。 「ピッキングして部屋に侵入されたら堪ったもんじゃない」ってとこか。  
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加