序章:幼い相棒

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  瞼を細く開き、眠たげに得物の動作確認をするコイツはチュンソ(春雪)、あだ名はハル。 歳は14歳、日本なら元気に中学校に通っている歳だ。 ………実の所、俺がロリコンと呼ばれるのはコイツが要因と言える。 「起きたか?」 「ん、起きた」 「やっとか………… よし、作戦内容は『洗浦の敵補給基地の奪取、物資の被害は少なめに』だ。 敵の生死は問わん、出来るだけ静かに殺れ。 行くぞ」 「あい」 彼女の答えを合図に俺はSG550を、ハルは得物のKAC SR16を携えて歩き出す。 敵の補給基地に辿り着くまでの間、俺はハルと出会った時の事を思い返していた。 ―――――――――― 2015年10月20日 韓国・ヨンチョン(漣川)郊外、北朝鮮軍前線基地_ 《こちらマッドスキッパー。 敵の様子はどうだハニービー?》 「どうもしねえ。 いつも通り、気持ち悪いくらい足並みが揃ってるだけだ」 AK47を体の前面に抱え、恐ろしいくらい無表情な顔で警備する門番兵を双眼鏡で眺めながら、俺はマッドスキッパーに答えた。 現在俺がいるのは、基地の北西に位置する正門からさらに500m程北西に行った地点。小山のような地形になっているその頂上で、伏せて敵情観察をしている訳だ。  
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