序章:幼い相棒

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  時刻は23時。 良い子は既に熟睡中のお時間なんだが、俺はどうやら悪い子だったらしい。 全く眠気に襲われず、夜も遅い今、俺は行動を開始した。 まず、伏せた姿勢のままM110の二脚(バイポッド)を展開する。 次にM110から弾倉(マガジン)を外し、7.62x51mmNATO完全被甲弾(Full Metal Jacket:FMJ)が20発入っている事を確認して再装填する。 最後に、M2スコープ(Leupold MARK4 3.5-10x40mm LR/T M2)のレンズカバーを外して、門番兵の眉間にクロスした照準線の中心を合わせれば、準備は完了だ。 「スー--……、フー--……」 息を吸い、吐き。 そして、 「スゥッ!!」 一気に吸って息を止め、僅かにブレる腕を抑えて俺は引き金を引いた。 プシュン! サプレッサーによって減音された銃声が響き、反動(リコイル・ショック)が俺の右肩を伝わる。 一瞬で命を刈り取られ、膝から崩れ落ちる門番兵。 それを見ていたのか、門の右手に設置されていた宿直室のような建物から慌てて兵士が走り出てきた。 倒れた仲間の傍で屈み込む彼にも照準を合わせ、引き金を引く。 頭を横から撃ち抜かれたそいつは、死んだ仲間に折り重なるように倒れていった。 彼らが目覚めることは、もう永久にない。 増援が来ないことを確認して、俺はM110を片付ける。 最後に二脚を畳み、人の痕跡を残さぬように処理をして、俺は基地へと駆け出した。  
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