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「こっちだ、二人とも」
手で合図を出し、位置を知らせてやると、何やら装備の他に荷物を背負っている二人が急いでこちらに向かって来た。
……重かったらしい。
「遅くなってすまん」
「クソ、どんだけC4持たせりゃ気が済むんだアンティーク野郎。
バックパックの中がC4だらけだぜ」
上から順に、エバンス=“オリックス”=マクスウェル、リー=“スパイダー”=ヴィーナスフォート。
こいつらとは、宿舎の部屋が一緒な事もあって、普段から良く酒を飲んだり任務をしたりする仲だ。
因みに二人とも、揃いも揃って日本の漫画やアニメが大好きと来ている。
毎年夏と冬には、暇な時に数日休暇を取って(俺には無理矢理取らせて)俺を引っ張ってコミックマーケットへ出向くのがこいつらの通例となっている。
部屋の中の二人のスペースは、買って来た漫画やら同人誌やらフィギュアやら何やらが所狭しと並んでいて、自分の居場所はベッドだけ、の有り様だ。
…………今更だが、素晴らしい程にオタク街道まっしぐらだな、こいつら…………。
「よし、皆に分配したな。
俺が先頭切って塀を越えるから、二人はそれに続いて来てくれ」
「OK、ダイスケ!」
「了解だ、大ちゃんよ。
中の警戒は頼むぜ」
リーはサムズアップし、エバンスはニヤリと笑って言った。
俺はそれを確認して、十字鉤の付いたロープを投げる。
…………よし、掛かった。
高さ数mの塀を一気に登って、有刺鉄線を切って後続の二人の道を作り、俺は先に降りて周囲の安全確保をする。
警戒に使うのはM110ではなく、シグ社の高精度アサルトライフル、SG550だ。
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