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「こちらハニービー。
オリックス、スパイダー両名と合流、基地内に潜入した。
死体の処理の後、作戦に移る」
《こちらマッドスキッパー、了解。
死ぬなよ》
「こんな所で死んで堪るか。
オーバー」
5m程の距離に敵の兵舎らしき建物があるので小声で素早く通信を済ませ、俺は小さくエバンスを呼んだ。
「エバンス」
「?」
「死体処理手伝ってくれ」
「了解」
リーに周囲の警戒を任せ、俺とエバンスは先程俺が狙撃した二人の敵兵を回収する作業に入る。
敵兵二人は依然として倒れたまま、ピクリとも動かない。
何人もヒトを殺してきて、もう死体程度に心惑わされる事はない。
だが、苦しませずに脳天の一撃で殺したのは、狙撃兵である俺のせめてもの償いだ。
敵味方関わらず、ヒトが悲鳴をあげてもがき苦しむ姿を見るのは嫌な事この上無いからな。
死人を物陰に隠した俺達は、機甲部隊が到着するまで取り敢えず捕虜や人質の捜索をしつつ巡回兵の掃討に入る事にした。
三人の中で唯一朝鮮語が話せる俺が先頭に立ち、後方の二人を誘導する。
兵舎、1つ目を過ぎる。
2つ目。
3つ……!?
(止まれ!)
角の向こうから人の気配を察知した俺は、口の動きと手信号で二人を止まらせて角から様子を伺う。
………やはりな。
7m程向こう、地面を照らす灯りの下に一人、AK47を抱えた巡回兵が立っていた。
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