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そいつはふとこちらを向いたが、俺達には気付かなかったようで、すぐに自分の仕事に移った。
(俺が仕掛ける。
エバンス、周りを見張ってくれ)
(了解)
(リー、M110頼む)
(OK)
身振り手振りで短く用件を伝えてリーにM110を預け、俺は静かに角から躍り出た。
相対距離を素早く詰め、相手の首根っこを掴んで地面に引き倒す。
念のため、持っていたAK47を蹴り飛ばすのも忘れない。
『!?』
『動くな。
脳みそをぶち撒けたくなけりゃあな』
『…………!』
まだ戦場を知らなさそうな顔立ちをしている若い少年兵の頭にM92Fを突きつけてホールドアップし、目線を外さぬままリーとエバンスを手で呼ぶ。
二人が来てから、一旦少年を立たせて暗がりに連れ込んだ後、俺は彼に朝鮮語で尋問を始めた。
『さて聞くが、機甲部隊を収容している施設は何処にある?』
『し、知らない!』
いくら洗脳のような教育を仕込もうとナマで突きつけられる銃には慣れていないらしく、声変わりのしていない少女のような声で随分と狼狽えた答え方をする少年。
『本当か?』
『本当だよ!この基地の人間は殆ど僕らみたいな兵士なりたての若年兵だし、僕は巡回ルートを教えられただけで、ここの施設の詳細までは知らないんだ!』
……驚いた。
ここは、訓練終了後に初めて前線に送られる若い兵士たちが集う基地だったのか。
(……これは、行けるかもしれないな)
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