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「ダイスケ、何て言ってる?」
「どうやら、この基地のヤツは殆どがこいつみたいな若年の兵士らしい。
兵舎の周りを巡回する兵ならともかく、重要視された建物の外を巡回する兵士は、内部の設備なんかは全く知らないんだと」
「という事はだ、大ちゃん。
格納庫とか司令部とか無線室とかとかとか…………なんかは、人に聞くより自分らで探してくれって事だな?」
「そう言うこった」
俺達が英語で話していたから分からなかったのか、微かに首をかしげた少年。
『………すまんな、怖い思いをさせちまった。
最後に2つ、質問だ。
名前と年齢、それに階級を教えてくれ。
それと、お前、ここらが地元か?』
『えっと、名前はキム・ソフア(金 雪華)、年齢は17。
階級は、一応一等兵って事になってる。
地元出身だから、この辺りは僕にとっては庭みたいなもんだよ』
ああ、そうじゃないかとは踏んでたが、やはり地元の人間だったか。
どうも生粋の北朝鮮兵にしては、妙なラフさがあったんだよな。
………………。
………待てよ?
今こいつ、何て名乗った?
『すまん。名前、もう一度言ってくれないか?』
『だから、金 雪華だって』
雪華………。
まさか、
『まさかお前、女か!?』
『ええっ!
気付いてなかったの!?
こんなんでも僕、女の子だよ!!』
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