社会人、驚愕。

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朝礼まで後少し。それまではこれから自分の城となるデスク周りを整える。 ペンスタンドに筆記用具を入れて、電話の側にはメモ帳を。 一番下の引き出しには引き続きの資料があるらしいから、後で吉川先輩に聞いておかなきゃ。 とりあえずこの位かな。 もう時間になるし。 社内時計に合わせ直した腕時計で時間を確認する。 カチ。 あ、8時だ。 その時、ドアが開かれ一人の男性が入って来た。 「部長おはようございます」 「おはようございます」 そんなに人数の多くない部署だが、皆が一斉に挨拶をすれば、取り残される訳にもいかず。 慌てて立ち上がると隣を過ぎる部長の顔を確認する間もなく、挨拶と礼を向けた。 これが例の鬼部長か。 足元しか見えなかったけど、いい靴っぽかったし。 顔を上げると木村先輩の召集で朝礼の始まりを告げられた。 部長の席を中心に円になって各連絡事項等が伝達される。 進行は木村先輩かー。 部長の横に立ちテキパキと進めていく。さっきのふざけていた姿からは想像できないような、しっかりとした口調、目配りで仕事が出来る人なんだと認識させられた。 「…と。以上で業務連絡は終わりです。最後になりましたが、今日からこの企画制作部に配属になった新入社員がいます」 隣に立っていた吉川先輩に突かれる。 人前で自己紹介とかってなかなか馴れるものじゃないけど。木村先輩も吉川先輩もいるし大丈夫よね。 心の中で気合いを入れ直す。 「じゃあ美夜ちゃん、前に」 木村先輩に促されるように前へと足を進める。
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