359人が本棚に入れています
本棚に追加
朝礼まで後少し。それまではこれから自分の城となるデスク周りを整える。
ペンスタンドに筆記用具を入れて、電話の側にはメモ帳を。
一番下の引き出しには引き続きの資料があるらしいから、後で吉川先輩に聞いておかなきゃ。
とりあえずこの位かな。
もう時間になるし。
社内時計に合わせ直した腕時計で時間を確認する。
カチ。
あ、8時だ。
その時、ドアが開かれ一人の男性が入って来た。
「部長おはようございます」
「おはようございます」
そんなに人数の多くない部署だが、皆が一斉に挨拶をすれば、取り残される訳にもいかず。
慌てて立ち上がると隣を過ぎる部長の顔を確認する間もなく、挨拶と礼を向けた。
これが例の鬼部長か。
足元しか見えなかったけど、いい靴っぽかったし。
顔を上げると木村先輩の召集で朝礼の始まりを告げられた。
部長の席を中心に円になって各連絡事項等が伝達される。
進行は木村先輩かー。
部長の横に立ちテキパキと進めていく。さっきのふざけていた姿からは想像できないような、しっかりとした口調、目配りで仕事が出来る人なんだと認識させられた。
「…と。以上で業務連絡は終わりです。最後になりましたが、今日からこの企画制作部に配属になった新入社員がいます」
隣に立っていた吉川先輩に突かれる。
人前で自己紹介とかってなかなか馴れるものじゃないけど。木村先輩も吉川先輩もいるし大丈夫よね。
心の中で気合いを入れ直す。
「じゃあ美夜ちゃん、前に」
木村先輩に促されるように前へと足を進める。
最初のコメントを投稿しよう!