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木村先輩の隣に立つと、ちらり見えた先輩の顔はすでに緩んでいて。
そう何回もヘマしませんよっ。
と心の中で悪態をつく。
「先程は失礼いたしました。改めて自己紹介をさせていただきます。今日から配属となりました鈴本美夜です。よろしくお願いいたします」
と、ぺこりと頭を下げた。
よし、完璧。
吉川先輩も微笑みながら拍手をしてくれている。
心の中でガッツポーズを決めたのもつかの間。
「…お前はさっきの……」
背後から聞こえた声に振り向くと、どこかで見たような顔が眉をしかめてこちらを睨んでいる。
私部長に怒られるような事した?
訳も分からず、木村先輩の隣へと戻る。
「じゃあ、次は俺らが軽く自己紹介するね。俺と、由羽ちゃんは挨拶したから…野村課長お願いします」
指名され一歩前に出てきた野村課長。
「野村です。課長とは言ってもかたくならず、何かあったら直ぐに頼ってね」
30代後半だろうか。
ぽっちゃりと膨らんだお腹と柔らかな笑みがとても親近感のわく人だった。
「じゃあ次、俺と同期の関」
はーい!と小学生顔負けな返事をし手を挙げたのが関先輩。
「関です。下の名前は颯太。どっちでも好きに呼んでねー」
満面の笑みで手を振る関先輩。髪の毛も色素が薄くその人懐こさから大型犬のような
印象を受けた。
「じゃ、つぎは―――」
のこり数名の紹介を受け、顔と名前を一致させようと脳をフル回転させていた。
「それでは、最後に部長。お願いします」
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