第五十九章 存在理由

15/51
前へ
/3000ページ
次へ
「返り討ちだ…!」  皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲も彼女に倣う様にして、黄色に染まった蜂の針を身構える。  だが、二体の迎撃は成功しなかった。その気力を削がれてしまったのだ。超越の弓と化した歩は彼等の目前で急加速し、彼等の隙間を縫う様にして通り抜け、その場で身体を制動させた後に旋回して二体の背後に停滞する。 「なっ…!?」  皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲と、皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲は、超越の弓と化した歩の圧倒的な機動力の前に驚きの声を上げて咄嗟に振り返るが、彼等の動きは歩から見たら、余りにも緩慢な物だった。  超越の弓と化した歩は黄緑色のアーチェリー型の弓を構えて、弓弦に番えていた黄緑色の光を放つ矢を無数に連射する。 「くっ…!」  黄緑色の光を放つ矢の連射の直撃を受けた、皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲と、皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲の二体は表情を歪ませてしまう。  状態六とエネルギーコンデンサー能力によって莫大な力を得た歩の放つ矢は、二体の身に纏う鎧を以ってしても完全にダメージを防ぎ切れる物では無かった。 「まだだ…!」  皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲が全身に浴びる矢の痛みに耐えながらも空中を突き進み、超越の弓と化した歩へと突進して行こうとする。 「雷貫…!」  黄色の輝きを放つ蜂の針を突き出した皇帝雷蟲太郎デラックス暴君童蟲の攻撃を、超越の弓と化した歩は左手に持っていた黄緑色のアーチェリー型の弓を盾や剣の様に扱って受け止める。その衝撃でオレンジ色の火花が発生し、周囲に黄色の輝きを放つ雷が炸裂する。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加