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超越の弓と化した歩が心の底から侮蔑するかの様な口調で言って見せると、皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲と、皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲のの二体はそれを耳聡く聞き取って、怒りに満ちた表情を浮かべてしまう。
だが、超越の弓と化した歩は彼等の反応を歯牙にも掛けない。所詮、彼等は失敗作だったのだ。ナノマシンと遺伝子操作によって試験管で由緒正しい生を受けた歩達第二世代に取っては、目の前の二体は失敗作と呼ぶ事すらもおこがましいのかも知れない。
人にはそれぞれ見えない器がある。その器に見合った大きさや性質の物を収めねば、その器はいずれ壊れる。ナノマシンも遺伝子操作も、調整も調律も、触媒も媒介も無しに、オリジナルのASドライヴを搭載する事も、阿修羅姫の力を使う事も出来る訳が無いのだ。少なくとも、この二つは彼等の器に収まり切る物では無く、今まさにガタが来ている。
「身の程を知れ。貴様等には最初から無理だったんだ。オリジナルのASドライヴと阿修羅姫達に選ばれなかったんだからな」
超越の弓と化した歩が淡々とした口調で言って見せると、皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲が怒りに満ちた表情を浮かべた。
「貴様等四大貴族は何故そうなのだ…!? 失敗だからか…!? 用済みだからか…!? 何故、こうも簡単に今まで積み上げて来た物を壊し、祀り上げて来た物を捨て去る事が出来るのだ…!?」
皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲が悲哀と憤怒に満ちた叫びを上げて見せると、超越の弓と化した歩は不愉快そうに表情を顰めながらも、ただ黙って彼女の声に耳を傾けていた。
「貴様等上の者は驕れるだろうな…! だが、その被害を受けるのは下の者だ…! 貴様も知っているはずだ…! 第二世代が生まれた事により、誰が蔑ろにされたのか位は…!」
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