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その途中、どうして最初にコートを掛けておいてくれないの、とか、裸になるって分かっていたのなら見ないでよ、とか色々と歩に不満をぶつけていた。
「そんな事を言われても、困るんだが…」
彼女の艶やかな肉体を凝視していた事には素直に謝罪するが、非常に立派な物なのだろうから別に恥じる様な事はせずに、素直に誇れば良いのだろうに。
「どうせなら、もっとムードのある場所の方が…」
流華が不機嫌そうに頬を膨らませながらも自分にしか聞こえない様な声で言うと、歩はどこか不思議そうな表情を浮かべていた。
「ねえ、そう言えば敵は…?」
流華が姿の見えない敵を探そうとして辺りをキョロキョロと見渡すが、敵らしき姿はどこにも見えなかった。
「俺が倒した…。お陰で頭痛が止まないんだがな…」
歩が眉間に皺を寄せながら頭を抱えて言って見せると、流華は感心した様な表情を浮かべた。皇咲良と自分と歩、阿修羅姫弓星石の四人がかりでも苦戦した相手を一人で倒すなんて、大した物だと素直に思える。
「そう言えば、咲良は…?」
流華が心配そうな口調で尋ねる。
そんな彼女の脳内には、太郎デラックスの攻撃によって腹部を貫かれた皇咲良の映像が過ぎる。彼女の安全を一心に祈りながら、流華は歩を見据える。
「咲良は天音さんに引き渡した。狩猟遊戯での復帰は不可能だが、彼女の命は助かる」
歩がどこか悲しげな表情を浮かべて彼女の問いに応えて見せると、流華はショックを受けた様に表情を歪ませる。
「ごめんなさい…。私があの時、動揺せずに奴の攻撃をかわせていれば、咲良をリタイアさせる事無く、治癒出来たのに…。私のせいで…」
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