第五十九章 存在理由

4/51
前へ
/3000ページ
次へ
 自分の意識と直接リンクしている量子演算型コンピューターのセレスティアルの戦術バックアップ機能。  これによって、彼等の鎧を撃ち破るのに有効な攻撃と言うのが、阿修羅姫と阿修羅姫専用武装と併用して融合し、状態六を発動した状態で『TRINITY―SYSTEM』と呼ばれるASドライヴのシステムを起動させると言う物だった。  だが、状態六と呼ばれる状態は消耗が激しく、三位一体の力を行使出来る『TRINITY―SYSTEM』も大量のAS粒子を消耗する為に長時間の維持が困難とされている。  この二つの力を併用したとして、一体どれだけの持続時間があると言うのだろうか。  その時間によって、攻撃が成功するかどうかの確率の幅が広がりもするし、逆に狭まりもする。歩は二体と大立ち回りを披露しながらも、セレスティアルに予測演算を行なわせて、持続時間を算出させている。  セレスティアルが導き出した持続時間の結果を見た歩は、チッ、と苛立ちに満ちた舌打ちを鳴らしてしまう。 ―ワンセコンド可能  それが量子演算型コンピューターのセレスティアルが弾き出した演算の結果だった。ワンセコンド、それは即ち一秒間のみの持続時間。それは余りにも短いが、妥当な時間だとも思えてしまう。  セレスティアルの戦術バックアップの機能を最大限に活かす事で、皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲と、皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲の攻撃を回避しているが、回避の為に用いられる運動能力はあくまで歩独自の物であり、決してセレスティアルの恩恵のお陰では無いのだ。  量子演算型コンピューターが達成難易度の高い予測を弾き出してしまったのならば、歩はその予測に応える為に肉体の許す限りの全性能で応えなければならないのだ。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加