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「目障りな餓鬼が…! そんなに叩き潰されたいか…!?」
皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲が痺れを切らした様に、歩へと接近しようと試みるが、それは味方である皇后炎蟲と化した花子デラックス蘭香娘蟲の目から見ても余りにも無策だと思わざるを得ない行為だった。
単騎特攻を仕掛けた所で、歩と弓星石の連携を崩すどころか、逆に返り討ちにあって甚大な被害を被る事になるのは目に見えていた。
「調子に乗るなぁ…ッ!」
皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲が鋭く叫びながらも、全身から黄色の光を放つ雷を次々に放出しつつ、歩へと凄まじい勢いで急速接近する。
「弓華…!」
歩が鋭く叫んだ瞬間、彼の呼び掛けに呼応する様にして、突進する皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲と歩の間に割って入って来る物体があった。
それは美しい猫だった。艶のある滑らかな黄緑色の体毛は日の光に反射して光沢を放ち、その黄緑色の虹彩を持つ瞳はまるで宝石の様な輝きを有し、首から伸びる鎖が弓星石のサーヴァント契約印と繋がれており、その大きさは猫と言うよりも豹に近い物があった。
この猫の名はサーヴァント・ケットシーの弓華。猫妖精と言われるサーヴァントの眷族の一体である。
「なっ…!?」
皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲が驚きに満ちた表情を浮かべると、弓華はその前脚を彼の腹部へと強かに叩き付けて後方へと吹き飛ばす。
体勢が崩れた所に、弓星石の黄緑色の光を放つ矢の連射、歩の白銀色の光を放つ粒子ビームの連射が、皇帝雷蟲と化した太郎デラックス暴君童蟲に浴びせ掛けられる。屈強な鎧によって大きなダメージこそは無いが、徐々にダメージが蓄積されつつあった。
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